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AFTER HOURS
編集後記

2013年04月17日 vol. 063

今週は悲運のボクサーに、タイのラブホテルに、往年の日活映画にスナック、そしてイースタンユースまで! いろいろありました・・・いかがだったでしょうか。

先週末は伊豆の「怪しい秘密基地 まぼろし博覧会」に行ってきました。週末の伊豆半島・・・行きも帰りも大渋滞で大変でしたが、予想以上のビザールな展示に大満足でもありました。バスを仕立ててのツアーに途中参加させてもらったのですが、主催が漫画家の森園みるく先生に、参加者も根本敬さん夫婦など特濃・特選メンバー。よけいビザールな時間でした・・。

名前からして怪しい「怪しい秘密基地」は、伊豆半島に「ねこの博物館」や「怪しい少年少女博物館」を持つオーナーがつくった、3つめの観光コレクション施設。オーナーである鵜野義嗣さんは、出版社データハウスの社長さんでもあります。ちなみに「怪しい少年少女博物館」はもとペンギン博物館。2011年にオープンした「怪しい秘密基地」のほうは、もともと熱帯植物園。山の斜面に建つ(というか残された)幾棟もの温室を使って、とてつもないコレクションを展示しています。これらの前身として、熱海に期間限定でオープンしていた「不思議な町1丁目」は、村上春樹さんと吉本由美さんと訪れた記録が『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』に収録されているので、興味ある方はご一読を。

で、オーナーの鵜野さんは出版社社長という激務をこなしながら、週末はほとんどひとりでこの「怪しい秘密基地」の改造に取り組んでいるわけですが、伊勢の元祖国際秘宝館や、石和の秘宝館、鎌倉のシネマワールドなど、閉館した観光施設の展示物を買い取っては、それを好きなようにつくり変えてここに展示しています。

ご存知のように僕も、閉館した鳥羽の秘宝館を一部だけですが買い取って、たまに展示しているのですが、それは自分の作品としてではなく、あくまでも秘宝館を生み出した、無名のアーティストたちの創造力に敬意を評してのこと。


いまはなき伊勢の元祖国際秘宝館にて

でも、鵜野さんのアプローチは僕と正反対です。敷地が国定公園内で、エロっぽい展示は許可されないという現実的な理由もあるのでしょうが、それよりも気に入ったものをどんどん集めてきて、それを気に入ったように組み合わせたり改造したりして、遊んでしまうのが鵜野さんはお好きなんですね。「そのまま展示してもしょうがないでしょ」と、何度もおっしゃっていたのが印象的でした。


剥製の山に隠れた伊勢の桃太郎(たぶん)を発見!

なので伊勢の秘宝館にあった人形たちも、オリジナルを知らなければ、これがもともと秘宝館の一部だったとは想像もできないほどに、激しく改変されてます。それが気になって、いろんなひとから「まだ行ってないの?」とか言われながら、なかなか足が向かなかったのですが・・・いざ拝見してみると、オリジナルを改変された哀しみよりも、つくり変えるエネルギーの凄まじさに驚かされました。

これはどっちがいい、悪いとかではぜんぜんなくて、かつてあったものを現在から未来へとつなぐ、まったく異なるアプローチなのだと思います。僕はそれを、なるべくオリジナルな形で、言ってみれば博物学のようなアプローチで残していきたいのだし、鵜野さんはそこに新しい生命を吹き込んで、生き返らせたいのでしょう。


野ざらしの秘宝おじさんの目には、なにが見えているのか・・

だから、もとのスタイルを維持しているのは僕のほうだけど、「見世物」のスピリットを正統に受け継いでいるのは、鵜野さんのほうかもしれません。みなさんも機会があったら、ぜひご覧ください。とにかく下手すれば2、3時間はすぐ過ぎちゃうぐらい、そうとう楽しめますから!

怪しい秘密基地 まぼろし博覧会
http://maboroshi.pandora.nu/info.html

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
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1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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