• TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS
編集後記

2014年04月23日 Vol.112

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! ご感想、ぜひFacebookページまでお送りください。

先週末は金曜日に福岡・松楠居で恒例のトークがあり、日曜日には佐賀嬉野温泉で「嬉野観光秘宝館のお葬式」イベントでした。僕のトークから始まって、前野健太さん、渚ようこ&デリシャスウィートスwithエルナ・フェラガーモ、倉地久美夫さんという豪華ラインナップのライブがあり、最後には展示品の一部がオークションにかけられて、さらにヒートアップ! これまでたくさんの秘宝館の最期を見てきましたが、こんなふうに幸福な臨終を迎えられた秘宝館は初めてです(そしてたぶん最後かも)。オーナーおよび主催者の情熱と努力に、深く感謝します。


地方の温泉場って、どうしてこうイイ湯加減のところが多いんでしょう。もうすぐ完全に二つ折りになりそうなまま熟睡してる爺さんのいる土産物屋(嬉野のおとなり鹿島の祐徳稲荷神社にて)。


嬉野温泉はもともと歓楽色の強い温泉地だったそうで、むろん激渋スナックも多数あり。看板見てるだけでも楽しい・・・「コヨーテ・アグリん」とか、


「スナック・ノイズ」って、おしゃれなイベントみたい(笑)


そしてイベント翌日、21日の朝にはすでに解体が始まりました。朝9時には、すでに巨大看板が倒されて、トラックの荷台に。


4月20日まではこんな絢爛豪華な空間だった、嬉野観光秘宝館のメインルーム「ハーレム」。


こちらが翌21日の昼。1983年の開館以来、初めて白日のもとにさらされた最期の姿。


乱交の翌朝の二日酔いのような光景かも・・・。




明るくされてみれば、さすがに傷みの目立つ人形たち。




どんどん外され、転がされていく。


オークションで救済された幸福な例外たちは、さっそく落札者によって搬出されるも、


呼ばれた宅配便さんには、ちょっと羞恥プレイ

主催者に聞いたところ、観客とスタッフあわせて300人以上集まったイベントで、地元佐賀のひとは1割ほど。福岡、長崎、熊本、さらに山口、広島、岡山、大阪、東京、長野、北海道(!)まで、日本中から秘宝館に別れを惜しむひとたちがやってきたなかで、地元がいちばん少なかったというのが、やはり秘宝館らしいとも言えます。そして単なる音楽ライブではなく、非常にピンポイントなテイストのイベントだっただけに、お客さん同士の話の盛り上がりも最高。あちこちでマニア交歓会が自然発生してて、とてもいい雰囲気でした。


性資料館みたいなものはまだたくさんありますが、観光目的のオールド・スタイルな秘宝館は、これでもう鬼怒川と熱海の2館を残すのみ。熱海はとうぶん大丈夫でしょうが、いかにも規模が小さいし、鬼怒川はかなり状況が厳しいようなので、現存最大規模だった嬉野観光秘宝館の閉館は、実質的に日本の秘宝館文化の消滅を意味します。

昭和の大衆文化がまたひとつ消えていくのは残念でなりませんが、このイベントで秘宝館のおもしろさに目覚めたり、あらためて刺激を受けた若い世代のだれかが、自分たちの、21世紀の新たな秘宝館をつくってくれることを願わずにいられません。それが潰されていった秘宝館たちにとっても、最高の供養なのだろうし。

  • TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS BACKNUMBERS
編集後記バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン