• TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS
編集後記

2013年01月09日 vol. 049

台湾珍寺、パリの娼婦、ワタノハスマイル、長野のスナック・・・今週も振り幅いっぱいでお送りしました、気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。ご感想、ぜひFacebookページにお寄せください(http://www.facebook.com/ROADSIDERS)。

お正月、それぞれ楽しく過ごされたことと思います。僕は久しぶりの台湾を満喫・・というには短すぎましたが、かなり濃いめに遊んできました。台湾はタイとハワイと並んで「老後を過ごしたい場所ベスト3」なので、僕にとっては旅行先というより、久しぶりの帰省先という気分です。ふつう外国に着くと、ああ新しい場所に来たな、という気持ちにさせられるものですが、台湾だけは最初から「あ、ここ前にも来たことがある!」という感覚で、もしかしたら前世は台湾人か、台湾の公園で寝てる野良犬だったのかもしれません。

台湾も台北だけじゃなくて、いろいろ田舎の良さがありますが、日本における東京と同じで、文化的なこととなるとどうしても台北に偏りがち。今回は台北から台中、台南と急ぎ足の旅でしたが、台北に較べればぐっと田舎町、同じ軟部エリアでも規模の点で高雄に完敗している台南が、僕は昔から大好きです。

台北と台南の関係というのは、僕にとってバンコクとチェンマイみたいな感覚でもありますが、ひなびた街並みとスロウ&メロウな人情が持ち味の台南で、意外なほどしゃれたロックバーを見つけました! その名も『KINKS』・・台湾通の方なら、すでにご存じかもしれません。

台南の駅から線路沿いの暗い道を、暴走する車やバイクに轢かれないようにしながら歩くこと15分あまり、中国語で「老房子」(ラオファンズ)と呼ばれる古い一軒家をそのまま使ったカフェバー『KINKS』の看板が見えてきます。






戦後すぐに建てられたという一軒家は、店主が趣味で集めたアンティーク家具がゆったり配置され、ジム・モリソンやクリームのポスターが飾られて、いきなり腰を落ち着けそうな雰囲気。裏庭のオープンエア空間も広々と居心地いいし、なんといっても酒がちゃんとしてる! これがなかなか重要なポイントで、実は台湾の街なかでは、ちゃんとしたバーが、日本の繁華街のようにたくさんは見つからず、食事時も「食うときはちゃんと食う」という感じで、それほどお酒を重要視しないことが多いようなので、うまい酒を飲みながらゆっくり話し込む、というのがけっこう難しかったりする。




その点、この店はお酒の種類も、カクテルもきちんとつくられていて、好感度大。盛りもいいし。さらにうれしいのはロックバーなのに、音量がかなり低めという点。僕が行った晩はマウンテン(懐涙!)がかかってましたが、センスのいい選曲を、音量を絞って流すというのが、大音量であるほどヨシとされるロックバーとはちょっとちがって、古民家と庭という空間とすごく合うというか。こういう店が東京にもあったらなあ・・と夢想せざるを得ませんが、東京どころか台北にもこんな店はなさそうなので、やっぱり台南という場所が生んだ空間なのでしょう。




日本の地方を旅していて、食事のあとどこで飲もうか・・と、ひとり飲み屋街を歩いているときに、小さなロックバーを見つけると、すごくうれしくなります。台南で出会ったKINKSはそんなふうに、僕にとって大切な場所になりました。

今週に続いて来週も台湾珍寺旅、中田柾志の誌上作品展に加えて、ふつうの雑誌ではまず無理だろうというストーリーを用意しています。お楽しみに!

KINKS
台南市青年路232巷25号
(06)208-5152
年中無休!


  • TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS BACKNUMBERS
編集後記バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

amazonジャパン


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン