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AFTER HOURS
編集後記

2012年09月26日 vol.036

今週号もお楽しみいただけたでしょうか。実は告知記事にもうひとつ、29日土曜夜にヴァニラ画廊主催で開催される、毎年恒例の「サディスティックサーカス 2012」を入れようと思っていたのですが、すでに全席売り切れ、当日券なし! という状態なので、諦めました。みなさん、お好きですねえ。ロードサイダーズ的には、以前紹介した切腹パフォーマーの早乙女宏美さんや、独居老人スタイルで読者を驚愕させた「首くくり栲象」さんも出演されるということで、ぜひプッシュしたかったんですが・・残念。

さて、毎週買ってる週刊誌ってあるでしょうか。週刊文春、新潮、朝日、SPA!・・・僕はそういう週刊誌を、ほんとにたまにしか買わなくなって、もうずいぶんたちます。あの、なんというか斜め上からのイジワル目線というか、居酒屋のカウンターで隣のオヤジの全共闘自慢を聞いてる辛さというか・・それでいて東大合格者リストとかは、ちゃっかり載せてみたり。個人的には親しい友人たちもたくさん編集者にいるんですが、なんだか読めば読むほど、気が滅入ってくるようで。

そういう週刊誌界のなかで、けっきょく「ふつうにちゃんとして、だいたい客観的で知的で、ジジ臭くも子供っぽくもなくて」というのは、もしかしたらいまやニューズウィークだけになってしまったんじゃないかと。それで毎週、キオスクで買っては読んでるわけですが、今週号(特集は「中国に異常あり」)の最後のほうに、4ページほどの写真セクションがありました。「ピクチャー・パワー」というその連載ページは、いつもパワフルでストレートな写真特集を組んでいて、短いながらすごく読ませるコーナーになってます。

シャノン・ジェンセンという写真家によって撮影された今週のシリーズは、スーダンの青ナイル州から隣国・南スーダンに逃れてきた、何万人もの(今年だけで!)難民たちの、ボロボロになった靴のコレクションです。


家を追われることになるまで、故郷を離れたこともなかった彼らが、突然強いられることになった長く危険な旅。ここまで! と息を呑むほどボロボロになった靴やサンダルは、その苛酷な逃避行の象徴であり、同時に、こう言っていいのかわからないけれど、すごく美しくもあります。難民というと、とかく骨と皮だけの子供とか、ハエがたかった赤ちゃんとお母さんとか、そんな映像ばっかり見せられるのが常ですが、こういうアプローチもあったんですねえ。

ただ残酷だったり、ただ美しかったりする写真を撮るのは、そんなに難しくないかもしれない。別に写真だけじゃなくて、文章でも絵画でも、映画でも音楽でも、それは同じことでしょう。

残酷な現実を暴きながら、同時に美しくもある――それがいちばん難しくて、いちばん深みを感じさせる物語なのかもしれないなあと、こういう優れたリポートを読むと、よく思います。悲惨な状況を教えられるとともに、同じ職業にいるものとしては、すごく勇気を鼓舞される。僕は戦場カメラマンではないけれど、文化にも戦場はあるんだと信じて、こうやって最前線に突っ込んでいくしかないんだなあ、と。

来週は展覧会の準備中、仙台のビジネスホテルからお届けするかと思います。お楽しみに!

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編集後記バックナンバー

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BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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