• TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS
編集後記

2016年11月16日 Vol.236

今週も最後までお付き合い、ありがとうございました! 気に入ってもらえた記事、あったでしょうか。

日曜日の夜、どこにも行かないでメルマガの原稿を書いていたら、Twitterで「レオン・ラッセル死去」というニュースが入ってきて、しばらくぼんやりしてしまいました。

若い世代に知られてるかどうかはまったくわからないけれど、僕ぐらいの年で、ずっとロックを聴いてきた人間にとって、レオン・ラッセルはだれよりもかけがえのないロック・ミュージシャンでした。1973年には武道館でコンサートがあり、僕はたしか高校3年で受験を控えてるはずでしたが、もちろん行って、そのライブは日本のみ発売の「ライブ・イン・ジャパン」アルバムとして長らくコレクターズ・アイテムとなってきて、最近になってCD化されて・・・と、いろんな思い出が重なって、とりあえずYouTubeにどっぷり沈みながら飲むしかない夜になりました。

『ソング・フォー・ユー』の冒頭――

これまでほんとうにいろんな場所に行ってきて
たくさんの歌をうたって
たいしたことない曲もいくつかつくって・・・

というの、高校生のころはただの歌詞でしたが、いま聴き直してみると、まるで自分の人生のようでもあり・・・泣けます。最後の最後でマイナーからメジャーに転調して終わる構成も、むかしは「うまい作曲」と思ってただけでしたが、いま思うと、この曲が歌われる人生を象徴しているようでもあり。


A Song for You, 1971

このところ音楽界はボブ・ディランのノーベル賞受賞で大騒ぎ。「オレも昔からいちばん好きだった」みたいな、ありがち発言があふれてて、イヤになります。昔はバイクでワルしてとか、ヘルメット被って大学に立て籠もってとか、だれも聞いてない自慢しながら居酒屋でクダ巻いてるオヤジみたいな。個人的には、ほんとにどうでもいい。素晴らしい詩人だとは思うけど、もっとほかに賞を取るべき小説家が世界にたくさんいるだろう、そう思うだけ。

レオン・ラッセルはボブ・ディランとジョージ・ハリスンと一緒に71年のバングラデッシュ・コンサートにも出演してますが、あの時代、少なくとも日本のロック・ファンのあいだでは、ボブ・ディランよりレオン・ラッセルのほうが確実に影響力があったはず。レオン・ラッセルはオクラホマ出身ですが、それまでのブリティッシュ・ロック全盛期から、アメリカのロックのほうに関心が動いていく、僕にとっても大きなきっかけでした。


1970年スタジオライブ・セッション
途中で登場する黒人老ブルースマンは1900年生まれのファーリー・ルイス。サックスはジム・ホーン、そしてスタジオでパイ生地こねてる!のはデラニー&ボニーのボニー・ブラムレット。

73年にレオン・ラッセルが初来日したとき、雑誌『ミュージック・ライフ』に来日レポートが載って、そのなかでたしか大阪城あたりでぶらぶらしてる写真と一緒に(記憶違いだったら失礼、もう40年以上前なので)、レオンが「立ち食いそばを汁も残さず完食した」というコメントがあって、妙に感激したのをいまも忘れられない。見かけ、ものすごくドラッギーなのに、ものすごく面倒見のいい親分肌で、泥臭くエモーショナルなソング・ライターでもある――単なるロック・ミュージシャンとはひと味違う人間性が、いまライブの動画を見てもじわじわ伝わってきます。


Hallelujah / Leonard Cohen

先週は金曜日にレナード・コーエンも死んでしまいました。これぞ「ロックの詩人」でしたが。世の中が「ディランは文学か」なんて、意味ない話題で騒いでるそばで、こんなふうに僕らのこころに貼りついてきた歌い手がいなくなっていること。そちらのほうを見つめていかなくては、と思うのみです。

2015年には『A Poem is a Naked Person』と題された、1972年から74年までのレオン・ラッセルを捉えたドキュメンタリーがリリースされたそう。とりあえず、それを観たい! 公式Facebookページを見ると、来年1月までのコンサート・スケジュールも載っているので、長い闘病とかではなかったのでしょう。「眠っている間に死去したと妻が語る」とコメントにありました。

レオン・ラッセル、享年74歳。謹んでご冥福をお祈りします。


A Poem is a Naked Person 予告編

  • TOP
  • 編集後記

AFTER HOURS BACKNUMBERS
編集後記バックナンバー

FACEBOOK

BOOKS

ROADSIDE LIBRARY vol.004
TOKYO STYLE(PDFフォーマット)

書籍版では掲載できなかった別カットもほとんどすべて収録してあるので、これは我が家のフィルム収納箱そのものと言ってもいい

電子書籍版『TOKYO STYLE』の最大の特徴は「拡大」にある。キーボードで、あるいは指先でズームアップしてもらえれば、机の上のカセットテープの曲目リストや、本棚に詰め込まれた本の題名もかなりの確度で読み取ることができる。他人の生活を覗き見する楽しみが『TOKYO STYLE』の本質だとすれば、電書版の「拡大」とはその密やかな楽しみを倍加させる「覗き込み」の快感なのだ――どんなに高価で精巧な印刷でも、本のかたちではけっして得ることのできない。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.003
おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち(PDFフォーマット)

伝説のグランドキャバレー・ベラミ・・・そのステージを飾った踊り子、芸人たちの写真コレクション・アルバムがついに完成!

かつて日本一の石炭積み出し港だった北九州市若松で、華やかな夜を演出したグランドキャバレー・ベラミ。元従業員寮から発掘された営業用写真、およそ1400枚をすべて高解像度スキャンして掲載しました。データサイズ・約2ギガバイト! メガ・ボリュームのダウンロード版/USB版デジタル写真集です。
ベラミ30年間の歴史をたどる調査資料も完全掲載。さらに写真と共に発掘された当時の8ミリ映像が、動画ファイルとしてご覧いただけます。昭和のキャバレー世界をビジュアルで体感できる、これ以上の画像資料はどこにもないはず! マンボ、ジャズ、ボサノバ、サイケデリック・ロック・・・お好きな音楽をBGMに流しながら、たっぷりお楽しみください。

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

SHOPコーナーへ


ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

SHOPコーナーへ


捨てられないTシャツ

70枚のTシャツと、70とおりの物語。
あなたにも〈捨てられないTシャツ〉ありませんか? あるある! と思い浮かんだあなたも、あるかなあと思ったあなたにも読んでほしい。読めば誰もが心に思い当たる「なんだか捨てられないTシャツ」を70枚集めました。そのTシャツと写真に持ち主のエピソードを添えた、今一番おシャレでイケてる(?)“Tシャツ・カタログ"であるとともに、Tシャツという現代の〈戦闘服〉をめぐる“ファッション・ノンフィクション"でもある最強の1冊。 70名それぞれのTシャツにまつわるエピソードは、時に爆笑あり、涙あり、ものすんごーい共感あり……読み出したら止まらない面白さです。

amazonジャパン


圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

amazonジャパン


ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

amazonジャパン


独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

amazonジャパン


ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

amazonジャパン


東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

amazonジャパン


東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

amazonジャパン