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AFTER HOURS
編集後記

2015年12月09日 Vol.191

今週も濃厚内容に最後までお付き合い、ありがとうございました! 気に入っていただけたでしょうか。

おかげさまで新刊『圏外編集者』も各地の書店に出回り始めているようで、ご覧いただけたらうれしいです。ちなみにAmazonを見てみたら、瞬間風速に決まってますが、「売れ筋ランキング」のなかの「出版マスメディア」で第1位! めでたいことはめでたいけれど、「出版マスメディア」の2位以下を見てみると、「日本語表記ルールブック」とか「校正記号の使い方」とかなので・・・笑。


しかし毎回思いますが、こういう出版されたばかりの書籍って、書店によっては一時品切れになったりするじゃないですか。それを狙うのか、やたら高値をつけて出してくる通販業者って、ほんとイヤですよね。先週土曜に出たばかりなのに、「中古の出品3117円」って・・・新品1782円で在庫ありなのに。信じられない。しかも、サインもなんにも入ってないのに(サイン入りだから高くなるような「先生」じゃないし)。

さて、僕はパソコンで原稿書いてるときに、けっこうネットラジオをつけっぱなしにしています。みなさんも、お気に入りのステーション、ありますか?

僕はiTunesのインターネットラジオから選ぶことが多いのだけれど、とにかく世界中のラジオ局が無数といえるほどあるので、タイトルを見ているだけでもおもしろい。欧米の巨大な商業ステーションと、田舎の小さなカレッジ・ステーションや、遠い国のマニアックな局がまったく同じ扱いで、ずらーっと並んで表示される。中には一日24時間モーツァルトを流す局もあれば、24時間ノンストップでシャーデーだけを流す局もある。こういう、資本の格差を完全にチャラにしてしまうのが、インターネットの偉大なところですねえ。

それでこないだ偶然見つけて愛聴しているステーションのひとつに、「A1900 Classical」というのがあります。たぶんフランスの局なので、「A」は「avant」のことかな? 1900年以前の音楽専門、という意味で。

たしかにバロックからベートーヴェン、ラヴェルまで、さまざまなクラシックの定番や、聴いたこともない作曲家の作品を、だいたい1曲10分前後でノンストップ配信してくれるので、BGMとしては最適。オペラまるごと、とか流されても飽きちゃうしね。これ、なんていう曲だろうと思ったら、サイトを見れば選曲リストがリアルタイムでアップされているし。

で、それだけならよくあるタイプの、趣味のいいクラシック・ステーションなんだけど、1時間にいちどくらい挟まれる「局からのメッセージ」が抱腹絶倒! 最初に聞いたとき、思わず全身が固まりました。原稿どころじゃなくなってICレコーダーで録音してみたので、とりあえず聞いてみてください。

https://soundcloud.com/roadsiders-weekly/a1900

たぶん機械翻訳で日本語に直してるんでしょうが(しかしなぜに日本語?)、あまりにワケがわからず、もはや音読版・夜露死苦現代詩と呼びたいクオリティ。クラシック音楽専門局なのに、ホームページにはアフロヘアーの黒人女性と、サイトからしてただならぬ感を漂わせてますが、いったいどういうひとがこれ、運営してるんでしょう。

世界の技術者の方々は、少しでも自然で正確な機械翻訳をと、日夜努力されているのだろうけれど、こういう「未完成のテクノロジー」って、使い方次第ではずいぶんおもしろことができるはず。携帯電話だって、初期のガラケー時代のカメラはすごく解像度が低かったけれど、だからこそ携帯ならではの荒れた写真が撮れた。でも、いまのスマホは確かにきれいに撮影できて、日常カメラを持ち歩く必要がないくらいだけど、カメラとの違いもなくなってしまった。いま、10年前の安いデジカメや携帯みたいな写真を撮るのって、けっこう難しいから。

ダメな機械翻訳とか、ダメな携帯カメラとか、だれにも顧みられることのないまま捨て去られていく「未完成のテクノロジー」。その可能性に、あらためて気づかされて、笑ったあとにハッとした瞬間でした。


A1900 Classical:http://a1900-classical.playtheradio.com/

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ROADSIDE LIBRARY vol.002
LOVE HOTEL(PDFフォーマット)

――ラブホの夢は夜ひらく

新風営法などでいま絶滅の危機に瀕しつつある、遊びごころあふれるラブホテルのインテリアを探し歩き、関東・関西エリア全28軒で撮影した73室! これは「エロの昭和スタイル」だ。もはや存在しないホテル、部屋も数多く収められた貴重なデザイン遺産資料。『秘宝館』と同じく、書籍版よりも大幅にカット数を増やし、オリジナルのフィルム版をデジタル・リマスターした高解像度データで、ディテールの拡大もお楽しみください。
円形ベッド、鏡張りの壁や天井、虹色のシャギー・カーペット・・・日本人の血と吐息を桃色に染めあげる、禁断のインテリアデザイン・エレメントのほとんどすべてが、ここにある!

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ROADSIDE LIBRARY vol.001
秘宝館(PDFフォーマット)

――秘宝よ永遠に

1993年から2015年まで、20年間以上にわたって取材してきた秘宝館。北海道から九州嬉野まで11館の写真を網羅し、書籍版では未収録のカットを大幅に加えた全777ページ、オールカラーの巨大画像資料集。
すべてのカットが拡大に耐えられるよう、777ページページで全1.8ギガのメガ・サイズ電書! 通常の電子書籍よりもはるかに高解像度のデータで、気になるディテールもクローズアップ可能です。
1990年代の撮影はフィルムだったため、今回は掲載するすべてのカットをスキャンし直した「オリジナルからのデジタル・リマスター」。これより詳しい秘宝館の本は存在しません!

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圏外編集者

編集に「術」なんてない。
珍スポット、独居老人、地方発ヒップホップ、路傍の現代詩、カラオケスナック……。ほかのメディアとはまったく違う視点から、「なんだかわからないけど、気になってしょうがないもの」を追い続ける都築響一が、なぜ、どうやって取材し、本を作ってきたのか。人の忠告なんて聞かず、自分の好奇心だけで道なき道を歩んできた編集者の言葉。
多数決で負ける子たちが、「オトナ」になれないオトナたちが、周回遅れのトップランナーたちが、僕に本をつくらせる。
編集を入り口に、「新しいことをしたい」すべてのひとの心を撃つ一冊。

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ROADSIDE BOOKS
書評2006-2014

こころがかゆいときに読んでください
「書評2006-2014」というサブタイトルのとおり、これは僕にとって『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』(2008年)に続く、2冊めの書評集。ほぼ80冊分の書評というか、リポートが収められていて、巻末にはこれまで出してきた自分の本の(編集を担当した作品集などは除く)、ごく短い解題もつけてみた。
このなかの1冊でも2冊でも、みなさんの「こころの奥のかゆみ」をスッとさせてくれたら本望である。

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独居老人スタイル

あえて独居老人でいること。それは老いていくこの国で生きのびるための、きわめて有効なスタイルかもしれない。16人の魅力的な独居老人たちを取材・紹介する。
たとえば20代の読者にとって、50年後の人生は想像しにくいかもしれないけれど、あるのかないのかわからない「老後」のために、いまやりたいことを我慢するほどバカらしいことはない――「年取った若者たち」から、そういうスピリットのカケラだけでも受け取ってもらえたら、なによりうれしい。

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ヒップホップの詩人たち

いちばん刺激的な音楽は路上に落ちている――。
咆哮する現代詩人の肖像。その音楽はストリートに生まれ、東京のメディアを遠く離れた場所から、先鋭的で豊かな世界を作り続けている。さあ出かけよう、日常を抜け出して、魂の叫びに耳を澄ませて――。パイオニアからアンダーグラウンド、気鋭の若手まで、ロングインタビュー&多数のリリックを収録。孤高の言葉を刻むラッパー15人のすべて。

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東京右半分

2012年、東京右傾化宣言!
この都市の、クリエイティブなパワー・バランスは、いま確実に東=右半分に移動しつつある。右曲がりの東京見聞録!
576ページ、図版点数1300点、取材箇所108ヶ所!

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東京スナック飲みある記
ママさんボトル入ります!

東京がひとつの宇宙だとすれば、スナック街はひとつの銀河系だ。
酒がこぼれ、歌が流れ、今夜もたくさんの人生がはじけるだろう、場末のミルキーウェイ。 東京23区に、23のスナック街を見つけて飲み歩く旅。 チドリ足でお付き合いください!

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